「Cross Fercia」

STORY 0「はじまり」

むかしむかし。
神から不思議な力を授けられた者たちがいました。

人はそれを「精霊」と呼びます。

花の精霊。河の精霊。湖の精霊。火の精霊――。

そして、晩秋の頃になると、この森で準備を始めるのが、”雪の精霊”です。

雨を雪に変えることが、彼らに与えられた役割でした。
彼らは、全てを凍らせることができます。でも、草木を枯らしたり、生き物を殺めたりはしません。

降り注ぐ雪は、空気を清めます。
積もった雪は、獣たちの休息に暗闇を与えます。

その雪の下に眠る樹木の根や、花の種や、たくさんの生き物を守っているのです。

やがて春が来ると、雪は溶け、大地に染みて草木を潤します。

仕事を終えた雪の精霊たちは、森の中でひっそりと暮らしながら、次の冬を待つのです。

彼らは人間と似た姿をしているといいますが、その姿を見たという者はいません。

でも、それは違います。
ただ、覚えていないだけことなのです。

彼らが人間に出会ってしまったならば、その者の記憶を凍らせ、永遠に溶かすことはないのですから。

そうやって、雪の精霊はこの森に棲んでいたといいます。

いえ、もしかすると、今も暮らしているのかもしれません。

あなたがただ、覚えていないだけのことで…。



→NEXT(STORY1) 

 Cross Fercia
TOPに戻る

mail
HOME