「ストレリチア」
STORY2「美しい鳥の導いた場所」
いつの間にか、川べりの道を歩いている。
この道は覚えがある。
いや、覚えがあるどころか毎日通っているではないか。
とたんに記憶が甦ってくる。
そうだ、ここは私の家からほど近い、毎日どこへ行くにも通る道だ。
大きな川に沿って、季節や天気で変わる水の匂いを感じながら歩くのだ。
でも何かおかしい。確かに間違いなく近所の道なのに、何かわからない違和感。
それにしても私はなぜこの道を歩いているのだろうか。
どこへ行くためだっただろうか・・?
そう思いながら歩いていると、向こう側から小さな少女が見えた。
赤いランドセルを背負った少女。学校の帰り道だろうか。
だんだんとお互いに近づき、すれ違うと思った瞬間、少女が足を止めた。
そしてなぜか私も・・・。
大きな瞳をみひらき、不思議そうに私を見つめる少女の瞳。
私はそこにうつる自分の姿を見た。
恐ろしい瞬間だった。
私の姿が映った少女の瞳は私の持つ瞳と全く同じカタチ・同じ色・・・。
まるであわせ鏡のようだ。
あまりのことに声も出せず立ちすくむ私に、少女は「じゃあね」と言い
軽やかに立ち去って行った。
唐突によみがえる記憶。
あの少女は幼い頃のワタシだ。確かに、小さな頃、大きな自分に出会っていた。
一度も思い出したことがなかったのに、まるで今見たような鮮明な記憶。
いや、今、見たのだ。この目で。あの目で。
あの少女はこの川べりを歩き、その向こうにある小さな一軒家へと帰っていくのだ。
私はそこへは帰れない。
なぜなら。私はそう、たぶん死んだのだ。