「ストレリチア」
STORY4「花に託した伝言」
彼が見える。
喜びも悲しみも分かち合ってきた彼。
あの人を置いて私はここへ来てしまった。
ストレリチアの花の前で泣いているのが見える。
私が唯一好きだと言った花だ。
そうか、あの花はこの美しい鳥の化身なのだ。
だから私には彼が見えるのだ、ほんのこの束の間のときに。
彼が届かない言葉を花に託すように、私への愛を語る。
私はそれがとてもよく聞こえる。
せつない思いが広がり、それを彼に伝えたいともがいてみる。
しかし、もう私には言葉を交わす唇も、思いを伝える瞳もないのだ。
あるのは、私がわたしであるというこの意識と、薄れゆく記憶だけ。
全てが消えゆくこのとき、だからこそ全てを伝えたい。
まだ、あるのだ。たとえ消えゆく運命でも今はまだ。
あなたの思いは痛いほど私の胸に伝わった。
だから、私の思いも感じて、そして受け取って。
最後の私のコトバを。
そして、あなたはあなたの道を進んで欲しい。それが私の最後の願い・・・。